全国行事レポート

報告者:司法書士法人リーガルオフィス白金
飯田 茂幸

中小企業家同友会では年に数回の全国行事がある。各都道府県の同友会が持ち回りで運営をし、開催地には全国から1千名前後の会員が集う。コロナ以降はオンラインで開催されていたが、この6月からリアル開催が復活した。6月の島根大会、7月は沖縄大会と参加してきたので報告する。

 6月は、女性経営者の交流会(男性も参加可)。島根に約600名の経営者が集い、「違いを生かして強くなる」を大会テーマに分科会と全体会が行われた。
 私は分科会のグループディスカッションでファシリテーターを務めた。女性たちは感性のままに自由闊達に意見をする。ファシリテーターは「まとめ役」でもあるが、意見は全然まとまらない。
 でもそれがとても良い。男性中心の討論に比べて「同調圧力」が極端に低いことが良い。男性中心の討論は型にはまった意見が多い。「正しさ」という同調圧力がかかっていることが背景にある。コピペかと思うほど同じ意見がでてくるが、そこにイノベーションはない。自分の声、相手の声、違いを認め合い、生かし合う女性たちのエネルギーを体感した。
 全体会では島根県知事のスピーチがあったが、途中何度か、言葉を慎重に選ぶ場面があった。最近では吉野家の常務取締役が失言で炎上した事件が象徴的だが、少し前まではウケた発言が今は一発アウトとなる。特に影響力の大きい立場の人は薄氷を踏む思いであろう。近年急速に人権意識が高まっていることを感じた。

 7月は、定時総会。沖縄で開催され、約1200名が参加した。「誇り高き『理念』につどい新しい時代へチャレンジ!」をテーマに、17の分科会と全体会が行われた。
 私は「ビジネスと人権」というテーマの分科会に参加した。2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」が国連で承認をされ、昨年2020年に日本でも「ビジネスと人権に関する行動計画」が策定されている。同友会でも「人間尊重の経営」を掲げているが、改めて考える機会となった。また、ビジネスにおいて人権意識を高めることが企業の価値を高め、さらには社会の底上げにもなるという意見があり、とても印象的だった。
 全体会は、沖縄が今年本土復帰50周年ということもあり、平和の大切さを考える機会となった。スーパーバスガイド崎原真弓さんによる「平和でなければ中小企業の繁栄はありえない」をテーマとした一人芝居の実演があり、沖縄戦の母子のエピソードを通じて戦争の悲劇と命の大切さが伝えられた。
 島根、沖縄と非常に有意義な時間となった。ある有名クリエイターが「アイデアと移動距離は比例する。」という名言を残しているが、全国行事の魅力は正にここにある。日本の最先端である東京でも、同じ環境に留まれば「井の中の蛙」となる。「非日常」は多くの刺激とアイデアをもたらし、新たな一歩を与えてくれる。

 次は9月、兵庫で開催される青年経営者の交流会(青年以外も参加可)。兵庫でも新たな刺激と出会いがあることを今から期待している。